我が家の愛犬「風(ふう)」は柴犬の雌で、生後50日で竹谷家の一員になりました。
小さくてコロコロしていて、とても可愛かった事を覚えています。
犬を飼うことになったきっかけは、主人の要望でした。
主人が体調を崩し一命を取り留めた時に、私が主人に「思い残すことはないか?」と聞いたところ「犬を飼いたい」と言ったので、回復の原動力になればと思い飼うことになりました。
実のところ、私は小さい頃から動物への恐怖心が強く嫌な思いを何度もしているので、初めは風ちゃんに触れる事も出来ませんでした。
まだ体も小さくケージの中で飼っているうちは、外から見ているだけだったのですが日々成長するにつれ、どんどん体も大きくなってきました。
そして主人の体調が悪くなった時期があり、その頃から朝の散歩や風ちゃんのお世話をする事になったのですが、恐々行っていました。
3歳頃からか散歩中に風を撫でようとしてくれた人の手を噛む事が何度もありました。
私自身も、風の世話をしている最中に手を噛まれた事があります。
また、道に落ちているティッシュペーパーやガムを私がよそ見している隙に口に入れてしまい、慌てて取り上げようとすると取られまいと噛むような体勢になり困りました。
また、散歩の時はおやつを投げてやらないと歩かないことも度々ありました。
そこで訪問で躾をして下さる犬の先生を獣医さんから紹介して頂き、何回か来ていただきました。
その時に風の首輪が2つ付いていることに気付かれ外していただいたのですが、その首輪を見て驚きました。
首輪の内側に首に食い込むようなギザギザの突起が付いていたのです。
主人に聞いてみると「躾用の首輪」とのことでした。
本革の幅のある首輪の下に隠れるようになっていたので主人以外の家族の者は気が付かないし、着けている事も聞かされていなかったし本当に何年もこのような状態にさせていた風ちゃんに申し訳ない気持ちになった事を鮮明に覚えています。
成長と共に首輪が徐々に締り首に食い込んでいたと思います。
今にして思えば、特に顔周りや体を触られる事を極端に嫌がったり、警戒して噛みに来るのは、この首輪が原因でトラウマになってしまっていたのだと思います。
もっと早く気付いてあげていれば・・・、と悔やんでも悔やみきれません。
首輪を外してからも、同じことで誰も、まともに風ちゃんに触れる事も言う事も聞かず困っていました。
最後の手段として躾専門の学校に預けることを考え、息子に色々と調べてもらいました。
そして、ライトマン警察犬訓練所さんと出会うことが出来ました。
先生方からお話を伺ってここに決めました。
我が家に帰って来て1か月が経ちましたが、散歩も楽になりましたし、近所の方々からも「風ちゃんおかえり!」「風ちゃん賢くなったネ!」と声をかけて下さり嬉しく思っております。
また、体も以前よりかは良く触れるようになりましたし、怒って噛みに来ることも今のところはありません。
最初の内は、毎月1回の面会に行っていたのですが、最初の面会の日私の心は不安と期待で複雑な気持ちでした。
ですが、風は私の姿を見るなり一目散に駆け寄って来てくれたのです。
その時の風の姿は、今でも鮮明に覚えております。
面会を重ねるごとに、段々と私も慣れて風と一緒に練習が出来、何よりも風が楽しくのびのびとしている姿に、とても感動しました。
もちろん最初から、ちゃんと出来た訳ではなく、風も私も初めの頃は手探り状態の中の練習でした。
また風も練習中パニック状態になることもあり、私も恐怖心を抑えるのに苦労しました。
担当の先生も何度も痛い思いをされたようで、大変申し訳なく恐縮している次第です。
9か月目の卒業2週間前には、息子家族と一緒に面会に行きました。息子家族は入所日以来の風ちゃんとの再会でした。
息子やお嫁さんや子供たちにも風が自ら駆け寄ってくれたりしてくれて何事も無く、「風の顔つきが変わって、穏やかになってる」と息子とお嫁さんが言ってくれた時は、本当に嬉しかったです。
また、卒業日に小雨の中、散歩中にティッシュを咥えない訓練と、犬を抱きかかえる訓練を見せてもらいました。
7歳にもなる成犬を、献身的に愛情を持って、躾のし直しをして下さったライトマンの先生方に感謝の気持ちでいっぱいです。
今、私と風は深い絆で結ばれています。毎日の散歩も楽しくて!これからも気を引き締めて教えて頂いた事を頑張っていきます。本当にありがとうございました。